これまでタイベリーについて、冬を迎える準備、春を迎える準備、ミツバチと受粉について等、収穫期を迎えるまでの様子を、SNSを通していろいろとご紹介してきました。
しかしながら自然とはとても過酷なもので、4月~5月半ばまで10℃程と涼しい日が続いていた中で順調な発育を続けていたタイベリーの樹々でしたが、5月後半に25℃と急激に気温が上がり、6月には30℃を超えて上昇したことで、実が成長していく上で水分を一番必要とする時期に水不足となってしまいました。そのため2018年と同様に畑が干ばつに近い状態となり、枯れてしまった果樹が多く出て実をつけても小さいまま完熟してしまいました。その結果ピューレ加工に使えないものが多く、収穫量としては昨年の1/4程度と大幅な減産となりました。
ここからさらに日本向けに輸出されるピューレ製品は数量が限定されてしまうため、長期の欠品が続き出荷再開時期は未定となります。
メコ種のブルターニュ産ラズベリーは、タイベリーに似た花のような香りが特徴の品種で、ラ・フルティエール社からタイベリーの代替商品として提案されていました。そして6月末に弊社で視察した際には、畑での生育状況も確認し例年並の収穫量が得られ、7月初旬から収穫を行うと報告を受けていました。
しかし思いのほか実りが悪く収穫のスタートが遅れる中、7月中旬から後半にかけて40℃近い熱波の影響を受けてしまい、収穫前の果樹が大幅に枯れてしまうという事態に襲われてしまいました。フランスではエルニーニョ現象の影響を受け、例年では考えられないような熱波が続いた後、今度は急な温度低下が続くという著しい異常気象が続いており、涼しく穏やかな気候を必要とするベリー類には大変厳しい気象条件となっています。
当初は今回の熱波を回避できたものと認識していたため、多くのお客様へタイベリーの代替商品としてご紹介してしまいましたが、タイベリーと同様に長期の欠品が続き出荷再開時期は未定となります。
ラ・フルティエールのカシスには、繊維感が強く実が肉厚なブラックダウン種を主に、新たにアンドリン種が選ばれています。
昨年からやっと収穫を再開した自社農場のカシスは、生育状況はそれほど悪くなく7月初旬から収穫が始まりました。今のところ収穫量は昨年と同程度を見込んでいます。樹齢を迎えたカシスを一度すべて伐採し苗から新たに育て、そこから数年を経て再び自社でも収穫できるようになりました。
また長年にわたって信頼関係のある、ロワール地方の契約農家で生産されたカシスも継続して確保することで、商品の安定供給に努めています。
同じく自社で栽培しているジュニファー種のレッドカラント(グロゼイユ)は、美しい赤い色合いが特徴で、繊維感がありクリアでシャープな酸味がピューレになってもとても美味しいです。
ここ数年、春先に霜に襲われて収穫ができていなかったのですが、今年はまずまずの生育状況で目標量を収穫できる見込みです。
カシスと同様に、ロワール地方の契約農家からも継続して確保することで、商品の安定供給を目指しています。